コーヒーが冷めないうちに 二周年記念を祝して質問に答えつづけてみた

①自分の出ている舞台が小説になると聞いた時の感想

 

全米が泣くな

そんな風に漠然と感じました。まだ売れるなんて事も確定していないにも関わらずありありとイメージできました。

 

②実際に小説になったものを読んだ時の感想

 

やっぱ

全米が泣くな

 

でした。台本と流れは同じなのだけど、いろんな説明や設定、舞台となるフニクリフニクラ以外の場所で起こることが描写されているのには感動しました。

演じるにあたり、裏設定として考えるような事が活字でそこにあるというのは不思議な感覚でしたし、裏設定として表現力を通してしか芝居ではおみせできないものが、堂々とそこにかいてあるというのには何かこうある種の気持ち良さ、スカッとした感じが心に芽生えました。

そして、小説になる前の私達の演技を参考にして書いたと思われる節が度々目に飛び込んでくると、なんとも言えない感覚、メガホンを持って裸で街に繰り出して、

「ここらへんのモデル、たぶんあたし!たぶんあたし!」

と、叫んでまわりたいような、とんでもない衝動に駆られたのもまたよい思い出です。

 

 

③小説の中で最も心に響いた一節

 

全てのシーンに通ずる事ですが、ありがとう を伝えるヶ所です。様々な人物が様々なバックグランドを背負って、最後にようやく搾り出す言葉…ありがとう。

日常において、皆様はどうでしょうか?言葉を尽くして説明をして、理解しあって、解釈して、そうして人間関係を整理整頓して作り上げるのが日常だと思います。

でも、追い詰められたり、感極まったら、頭じゃなくて心に湧いたものが口から生まれてくるだけ、になりませんか?

コーヒーファンからすればべたなセレクトかもしれないですが、やっぱりありがとうしか口をついて出てこない、そんな瞬間を切り取って作品にするなんて、素敵やないか。

 

もう一度言いたい。

素敵やないか!

 

これはありがとうのオムニバスといっても過言ではありません。

 

 

④この小説が本屋大賞にノミネートされた時の気持ち

 

もう全米は泣いてるのかな?

でした。もうさすがに泣いてくれているのではないかと。

 

さて、おふざけは終わりです。正直な話、何も驚かなかったんですよね。

 

小説になる前から、この作品は世界で一番好きな作品でした。なので、本屋大賞ノミネートの一報が入った時点では、信じられない!という感覚ではなくて、皆様が理解してくれてよかった!皆様さすが、さすがです!という、作品以外のところや読者の皆様方に感謝の気持ちみたいなのでいっぱいでした。(私が書いたわけじゃないけど)

それに、執筆活動中だった頃の川口さんを思い出すと泣けて仕方なかったです。ひたむきに走る人には必ず誰かが協力してくれるんだな、と実感しました。

サンマークさんとの熱い絆を語る川口さん、ヘルニアを抱えながら頑張った川口さん、小劇場でずっと作品を発表し続けた川口さん、舞台監督として理不尽に罵倒されたりしていたわかかりし頃の川口さん、理不尽な目にあっても愛を持って演者に接してくれた川口さん、全ての川口さんが報われた気持ちになって泣きました。(私が育てたわけじゃないけど)

 

川口さんの努力と、川口さんを世に出す為に尽力してくださった方々のおかげでこの作品が世間の目に触れて本屋大賞ノミネートという晴れ舞台にたった事。

この下りで映画でも撮れるのではないか、もしかすると全米はそちらでも泣くのではないか、妄想覚めやらぬ一夜を過ごしたことを鮮明に覚えています。

 

⑤続編「この嘘がばれないうちに」を読んで一番好きだったストーリー

 

難しい質問です。

私は無類の寿司好きです。どんなときでも食べれます。逆に寿司も喉を通らない日はマジで体調が良くない時です。

 

そんなお寿司。一つだけ好きなネタを選んでくださいと言われたら苦痛です。

 

それは今、食べたいものですか?

それとも未来永劫それしか食べられないとしたら?という意味ですか?質問の前提を教えてください、と、七面倒くさい事を投げかけてしまいそうになります。

なので、この嘘に関してもこれ!と言えないのですが、演じてきた側からすると、数が幸せになる、いろんな事から解き放たれる物語は胸を打たれました。

どんなときでもコーヒーを淡々と注いできた女性が背負ってきた小さな頃からの傷、想い、迷い。

今これを書いていて若干うるうるしている事はここだけの秘密にしておいてください。

 

 

⑥「コーヒー」「この嘘」を通して自分が一番好きなキャラクターとその理由

 

「この嘘がばれないうちに」に登場する7歳のミキ。

可愛すぎる。

グダグダ語る必要はないですね、もう私もお母さんになってもいい歳ですからでしょうか。

とにかく可愛くて仕方ないです。

 

舞台作品に出てくる人物でありながら、小さなミキには舞台でお会いしていないので、好きな人の小さな頃の話を聞かされるようなそんな温かい気持ちになれました。

私が長らく演じさせて頂いている平井さんも同じく魅力的で一生やりたいくらいなんですが、お会いしたことの無いという点で、小さい頃のミキちゃんを選ばせて頂きました。

 

 

⑦場所は自由で、あの日に戻れるとしたら、いつに戻りますか?ただし、コーヒーが冷めきるまでの短い時間です

 

この作品のおかげでしょうか、まだ無いんです。

悔やまない、怯まない、今日からまた進化するという気持ちになれる作品なのでかなりポジティブな影響を受けています。

今を精一杯生きること。

今の積み重ねが未来の自分を作ること、過去の自分が今の自分を作っていること、そんな哲学を繰り返すとまだ私には戻りたい過去はありません。

これからも、起きてしまった事実に誠実に向き合って未来に向かって行ける自分でありたいですし、そんなマインドでいさせてくれるコーヒーには感謝をしています。

死ぬ間際に、楽しかった瞬間へ一度だけ戻りたい、そう思えるような役者人生を目指します。

 

 

⑧この小説をまだ読んでない方へのオススメポイントは?

 

四回泣ける、がキャッチフレーズですが、何回泣いてもいいし、何回もなけなくっても構わない、読み進めていくうちにそう感じられる優しい流れです。

また、少し時が経って読み返してみると泣くポイントが前回と違っていたり、結局は今の自分の心にどの話が刺さるか、そういう柔軟性のある物語なので、今の自分を見つめ直すにはうってつけです。

またこの世界に生きている事をいろんな人物の視点から見させてくれるので、人生の岐路にたったとき、何の岐路にも立っていないとき、いつでも何度でも読んでもらいたい物語です。

 

素敵な物語に乾杯。

 

永吉翼